今日は俺が下ネタを使って初級日本語の授業をしたときのお話です。
話のオチから言ってしまうと、みんなの日本語19課の文型「〜たことがあります」の導入で、性交経験について質問したら、学生がドン引きするどころか、ひどく食いついてきて、話が展開しまくったという内容(さすがに女性のいない、オール男性クラスでの出来事です)。
あなたは セッ◯スを したことが ありますか。
はい、あります。毎日バコバコです。
「フォーーーーーーーーーー!!」
クラスが大盛り上がり!!
じゃあ、チンさん、あなたは セッ◯スを したことが ありますか。
はい、一度あります。
誰としましたか?
池袋のソープ嬢としました。
「おいおいおいおい、チンさん、性病になりませんでしたか〜〜〜??」
クラス中から総ツッコミが入る。
ソープ嬢とセッ◯スをします・・・コンドームをつけたほうがいいです。
あ、やべっ、「〜たほうがいいです」は32課の文型だった・・・。けどまあ、19課の「〜たことがあります」とセットで教えても別にいいっしょ。
先生ー、オカモトのコンドームは、とてもいいです。
私の国のコンドーム、破れたことがあります。
やべえ、「〜たことがあります」が めちゃめちゃ定着してるー。
じゃあ、次はグエンさん、あなたは セッ◯スを したことが ありますか。
いいえ、一度もありません。童貞です。
ブゥーーーーーーーーーー!!
クラス中、大ブーイング。
こんな感じで、いつも無反応な学生がこの日は身を乗り出して食いついてきた。やはり日本語学校でくすぶってるチンピラ学生たちには下ネタで攻めるのが一番だ。
まあ、俺の本音としては、超絶美女に「セッ◯スしたことがありますか?それとも処女ですか?」という質問攻めをしたいんだけど、クラスに美女どころか、女性が一人もいないからしかたがない。
俺の持論
まず、俺の持論として、教室内も実社会であると考える。
日本語教師によっては、教室内は仮想空間で、教室の外に実社会があると考えるチンカス教師がたくさんいるけど、じゃあ教室内では本物のコミュニケーションが発生し得ないってこと?
なわけねーだろ。
教室内でだってちゃんと他者に興味を持てば、生きた日本語でのコミュニケーションが展開できるはず。教室の中だってそこにはインフォメーションギャップが山ほどあるので、決して閉ざされた空間なんかじゃなく、偽物じゃないコミュニケーションができるはず。そのようなコミュニケーションを発生させる仕掛けをするのが日本語教師の役割なんじゃないかな。
教室の中で声を張り上げて文型練習することは、日本語教師の専門性ではない。そんなのは頭使わなくてもできるだろ。
「いーち、にーい、いち・に・さん・し、まわれ〜〜〜右」みたいな無意味な号令練習みたいなもんだ。
上述のとおり、日本語教師の役割って、コミュニケーションを発生させるための仕掛けをすること。で、そのコミュニケーションって何なの?って思うだろうけど、
それは、この俺の授業を見てもらえればわかる。
そんな持論を豪語する俺の授業を校長が見学に来ることになった。
では、そんなサナダ先生の授業を見せてくださいな。
俺はこの仙人校長となぜか馬があった。俺の授業に興味を持ってくれたのは、素直に嬉しかった。
しかし誤算だったのが、クラス担任の福田も校長と一緒に見学に来やがった。
校長先生が見学されるなら、クラス担任の私もしっかりと見学させていただきます。
てめぇ、ダメだしするのを前提にしてるだろ。眼鏡の奥が悪光りしてるぜ。
校長だけならウエルカムなんだけど、クラス担任の福田も一緒に見学することになった。フクダに見られるとなると途端に気が重くなったが、まあ、あれこれ考えてもしかたがない。俺は俺の授業をするだけさ。ルンルンルン〜♪
授業当日
教室の後方には、校長と主任の福田が座っていた。
みなさん、こんにちは。元気ですか?
授業のはじまりに俺が挨拶すると、決まって誰も返事しない。もはや見慣れた光景だ。
日本語学校のことを知らない人は、
じゃあなんで学生は、そんなかったるい授業に出席するの?
と思われるかもしれない。至極真っ当なご意見でその通りなのだが、彼らは日本に滞在するための在留資格が日本語学校の出席率によって担保されるのだ。
だからみんなダルそうにしながらも教室にいる。
皆さん、こんにちは。今日もうだつの上がらなさそうな表情ですね。
校長がクスッと笑った。福田の眼鏡が悪光りした。
俺は授業中にイラっとしたら、学習者がわからない日本語で一発ぶち込むことにしていた。
たとえば、
あなたは オタンコナス ですか。
俺の皮肉には誰も気づかない。
本物の日本語教育を教えてやる
さて、みなさん、今日も日本語の授業を始めましょう〜。
しーん・・・
今日は19課を勉強しましょう。
「〜たことがあります」これは経験を表します。
「タ形」きのう勉強しました。テ形の「テ」を「タ」に変えるだけです。
先生ー、テ形は何ですか?
わかりません〜。
わかりませんか。そうですか。オーケーオーケー、タイムマシーンで2週間前に行ってください。帰ってこなくてもいいです。
先生ー、トアンさんはタイムマシーンがありませんが、オ◯ニーマシーンがあります。
教室、大爆笑。
仙人校長、苦笑い。担任のフクダはメガネを悪光り。そして例によって、チンピラ学生たちは、調子に乗る。
先生ー、チャンさんは オ◯ニーをしたことがあります。
チャンさんは毎日オ◯ニーをします!
爆笑の渦。
そして、俺は、ブチ切れた。
お前ら、ふざけんじゃねぇぞ。俺の説明聞いてたのかよ、こらー!
一瞬、教室が静まりかえる・・・。
「〜たことがあります」は、経験を表すって言っただろ!
は、はい・・・。
チャンさんは毎日オ◯ニーをしますから、それは経験じゃありません。習慣です。
は、はい・・・。
サナダ先生、そこ?
ですから、経験をきいてください。何をききますか?
「オ◯ニー」じゃありません。
「セッ◯ス」です!
は、はい・・・。
・・・。
「セッ◯ス」をききます。童貞ですか、童貞じゃありませんか、わかります。じゃ、ワンさん、あなたは…
というように冒頭の会話に発展した。
大盛況の日本語授業
あなたは セッ◯スを したことが ありますか。
はい、あります。毎日バコバコです。
「フォーーーーーーーーーー!!」
クラスが大盛り上がり!!
じゃあ、チンさん、あなたは セッ◯スを したことが ありますか。
はい、一度あります。
誰としましたか?
池袋のソープ嬢としました。
「おいおいおいおい、チンさん、性病になりませんでしたか〜〜〜??」
クラス中から総ツッコミが入る。
ソープ嬢とセッ◯スをします・・・コンドームをつけたほうがいいです。
あ、やべっ、「〜たほうがいいです」は32課の文型だった・・・。けどまあ、19課の「〜たことがあります」とセットで教えても別にいいっしょ。
先生ー、オカモトのコンドームは、とてもいいです。
私の国のコンドーム、破れたことがあります。
やべえ、「〜たことがあります」が めちゃめちゃ定着してるー。
じゃあ、次はグエンさん、あなたは セッ◯スを したことが ありますか。
いいえ、一度もありません。童貞です。
ブゥーーーーーーーーーー!!
クラス中、大ブーイング。
その一連のやりとりに仙人校長は一緒になってゲラゲラ笑っていた。主任のフクダは、
顔を真っ赤っ赤にして、噴火寸前の火山のような状態になっていた。
授業後
授業後に俺は校長と居酒屋に行った(もちろん校長のおごりで)。
サナダ先生、今日の授業はお見事でした。先生のおっしゃる教室内での偽物じゃないコミュニケーションというのが、よくわかりました。
どうも。あんなの序の口ですよ。いつもはもっとディープなことやってますから。
でもですよ、サナダ先生。うまくやらにゃいかんとです。担任のフクダ先生をたてつつ、裏ではがっつり学生たちを丸め込む。今日の授業を見せられたら、フクダ先生も内心穏やかじゃないと思いますよ。
そんなに担任に気をつかわないといけないもんですかねえ。
経営側にとって、学生は大事なお客さん。先生方は貴重なリソースなのです。仲良くやってくださいよ。
校長はこの日本語学校がどれだけ皆に支えられているかを訥々と語っている。俺は生ビールを飲みながら、人間臭くてなかなかいい校長だなと思った。あの事件が起きるまでは。
次回は、仙人で仏のような校長の意外な姿を見たときのお話。お楽しみに!
<つづく>
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