ヤブ医者と日本語教育

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今回は、ヤブ医者と日本語教育についてのお話です。

とはいっても、ヤブ医者的なエセ日本語教師を標的にしてディスるお話ではありません。教師の資質や専門性といったお話でもありません。

この記事では、必要悪としてのヤブ医者の存在意義を整理し、じつは国内の民間日本語学校もヤブ医者的な役割を担っているよね、というお話です。つまり、日本語教育の社会的役割を再定義するお話です。

ヤブ医者について

ヤブ医者の定義

そもそもヤブ医者って何?誰のこと?

ウィキペディアでは、以下のような定義をしています。

藪医者(やぶいしゃ)とは、適切な診療能力や治療能力を持たない医師や歯科医師を指す俗称・蔑称である。

https://ja.wikipedia.org/wiki/藪医者

なるほど。

ヤブという響きには、「エセ」とか「なんちゃって」という微妙な偽物感が漂っていますね。

ただ、どこからどこまでがヤブで、どこからどこまでがヤブでないかの境界線を引くのは難しそうです。

また、ヤブであるという本人の自覚の有無も、他人からではなかなか判断できないですし、無自覚のヤブ医者も多いかもしれません。

患者
患者

あなた、ヤブ医者?

ヤブ医者
ヤブ医者

いいえ、私はヤブ医者ではありません。

患者
患者

あちゃー、気づいてないのね

いずれにしても、自覚があってもなくても、人の命や健康を預かる(しかも高給取りの)医師が、テキトーな診断や治療をしてるって、ひどい話ですよね。

ちなみに、ヤブと「無免許」は同義ではありあません。手塚治虫のブラック・ジャックは無免許ですが凄腕で、決してヤブ医者ではありませんものね。

最悪なのは、ヤブで無免許の場合。そうなると、鬼に金棒的で、もう手がつけられません。

患者
患者

できればヤブ医者には、かかりたくないわ・・・。

きっと誰もがそう思ってるはず。でも実際は、どの病院がヤブなのかは、近所の評判やネットの口コミだけでは判断しきれないので、意外と多くの人が気づかずにヤブ医者にかかっているのが実態ではないでしょうか。

必要悪としてのヤブ医者の存在意義

ただ、患者によっては、医者がペンライトで喉を照らしながら、

ヤブ医者
ヤブ医者

ああ、風邪ですね。

というセリフを聞き、お薬を処方してもらうためだけに診察を受けるケースも多々あります。その場合、担当医がヤブ医者でもなんでも、とにかく医師の診察を受け、処方箋を出だしてもらう、ということが重要で、目的は適切な診断や治療を受けることではなく、「処方箋」なのです

テキトーに診察して、患者が望む薬をほいほいと処方する医師は、道徳的にどうなんだとは思いますが、そういうヤブ医者も広い社会の中では確実にニーズがあり、ちゃんとビジネスモデルに組み込まれているんですね。

そう考えると、ヤブ医者の存在意義って意外とあるのかもしれません。ヤブ医者たちは、必要悪に自らの社会的役割を見出し、その存在意義を日々深めているのでしょう。

ヤブ医者と日本語教育

不法労働者の隠れミノとしての日本語学校

留学生たちは、授業の出席率が低いと留学ビザの更新ができなくなるので、意地でも最低出席日数分は登校してきます。しかし、せっかく授業に出席しても、連日連夜のアルバイトによる寝不足で、教室の机で延々と眠っている留学生も多いです。

日本人
日本人

そんなにモチベーション低いのに、なんで授業に出るの?

日本人
日本人

なんで高い学費払って、学校で寝てんの?

まっとうな質問だと思います。ただ、それに対する回答はさらにまっとうです。

留学生
留学生

ビザのためでしょうが

もはや、日本語学校に在学し、そこに通う目的は、日本に在留するためのビザ更新のためなのです。

「処方箋」と「ビザ」

ところで、ヤブ医者が発行する処方箋と、日本語学校が発行するビザ更新の書類って、どこか似てると思いませんか?

ヤブ医者にかかるのは、病気を治すためではなく、処方箋をもらうため
日本語学校は、日本語を学習する場所ではなく、ビザ更新のため

ヤブという概念を複数、寄せ集めて考えてみると、ヤブであることは、ひとつの社会的役割であるといえます。なぜならそれは、需要者の圧倒的なニーズによって支えられているからです。

社会構造的に、多くの留学生に来てもらって、不足がちな労働力も担ってもらおうという日本国の政策があり、そこから派生するビジネスモデルにのっかることは、とても健全なことだと思います。

エピローグ

結局のところ、ヤブ医者だろうと、ヤブ日本語学校だろうと、選ぶ側に選択権があるのです。そして、その選択権をもつ需要者の中には、医師や学校を別の目的で利用しようと考える人もいます。そう考える人が大多数になったとき、医師や学校は、好むと好まざるとに拘らず「ヤブ」という新たな称号を手にするのかもしれません。

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