俺が日本語教師になったきっかけは、不純な動機からだ。
ロシア人美女の胸の谷間を拝みたい、ただその一心だった。
どういう経緯でそんな不純な動機が俺の中に芽生えたのか、今日はそれをお話ししたい。
不純な動機の芽生え
俺は新卒で、とあるコピー機メーカーに就職した。5年間、営業職として都内を駆けずり回り、あらゆる業種の事務所に飛び込み営業を行なった。
6年目の第二四半期のノルマをなんとか達成しようと躍起になっていた7月末、俺は新宿区にある日本語学校に飛び込み営業をした。
ちゃあっす〜。少しお時間よろしいでしょうか〜。
俺の営業先の多くが建設業や製造業の男臭い現場の事務所だったのに対し、この新宿の日本語学校では、にこやかな女性スタッフが対応してくれた。
そこで俺は、人生を狂わす、ある衝撃的な場面に出くわすことになる。
その日本語学校では、俺みたいな営業マンなどの業者は、廊下のようなホールのような空きスペースに通されて、そこで営業を行うことになっていた。
あのー、これが私共の、他社さんにない保証条件でー、このー、そのー、あのー。
なんていう冴えない時間稼ぎのような、クロージングまでの道筋がまったく見えない営業トークを展開していると、日本語授業の休み時間になって一斉に教室から外国人の学生が出てきた。
俺は、外国人の高密度の光景に少々圧倒されながらも、その中に、一際目立つ白人の金髪美女の存在に目を奪われた。
なにあのコ、めちゃくちゃ美人で、セクシーすぎる。
俺は、目の前にいるにこやかな女性担当スタッフの質問をよそに、その白人金髪美女のハンドボールふたつ分の胸に釘付けになった。
いやいや、弁明させてくれ。ただハンドボールがふたつ並んでるだけならまだしも、そのふたつのハンドボールの上半分が露わになってるんだぜ。
男なら誰だっって釘付け&金縛りにあうはずだ。
そしてなんと、その金髪白人美女は、俺の方に向かって腰をふりふり歩いてくるではないか。
せんせー、こんにちはー。誰と話していますかー?
いやー、俺せんせーじゃねえし。何やってるも何も、お宅のスタッフと、
ナターシャさん、こんにちは。
先生は今、外部の人と話しています。
日本語の勉強はどうですか。難しい?
あー、俺に話しかけてきたわけじゃないのね。そりゃ俺、先生じゃないしね。ちなみに、この女性スタッフは日本語の先生だったのか・・・。
はい、難しいですが、とても楽しいです。
国で勉強するよりも、日本で勉強する方が、もっと楽しいです!
そう言って金髪白人美女は、な、な、なんと、、、
俺にウインクして去っていった・・・!
・・・、・・・。
なんじゃありゃあああああああああああ。バケモノのようにセクシーじゃねえか!
俺の心の声が聴こえたのか知らんが、女性スタッフは、
ごめんなさい、あの学生はロシア出身で、すごく日本好きなコなんです。人懐っこいですよね。
ぜんっぜん、いいっすよ(むしろもっと過激なことされてもウエルカムですー)。
日本語勉強してる学生って、あんなコが多いんですか?
そうですねー、出身国によってだいぶ違いますけど、スラブ系はみんな浮いちゃうくらいセクシーな格好してて人懐っこい学生が多いですよ。
まじっすか。まじで、まじっすか。
日本語教師って、個性豊かな色んな国の学生相手だから、色んなハプニングがあって大変ですけど、その分、刺激的で面白くてやりがいのある仕事なんです。
はあ、そうですか。そうでござんすか・・・。
ふむふむふむ。
「刺激的」でござんすか。たしかに「刺激的」でしたよ。
やりがい? わかるよ、わかる。「刺激的」なあれが、やりがいにつながるってことでしょ。
・・・・・・。
はい、決めた。
俺、今の会社辞めて、日本語教師になる。
日本語教師になって、ロシア人美女のハンドーボールの上半分が露わになった胸元を上から覗き込む毎日を送ります。
会社を辞めて日本語教師の道へ
次の日ではなく、俺はその日、会社に戻るなり、課長と部長を呼び出して、会社を辞めることを告げた。
課長と部長は、口をそろえて言った。
「なんだ、お前から打ち合わせ設定するってことは、また何かやらかしたのかと思ったわ。辞めるのね、どうぞご自由に」
少しは引き止めろよ、
とさえ微塵も思わないほど、俺は日本語学校で働くイメージに取り憑かれていた。
俺はこれから、毎日、ロシア金髪美女の胸元を拝んで過ごすのだ。てめえらのような日陰族とは、おさらばよ。
こんな気分が高揚してるのは、生まれて初めてだぜ。
モチベーションが最高潮になる自分を感じて、俺は底しれぬバイタリティを感じていた。
フォ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!
という経緯で、俺は丸5年勤めたコピー機メーカーの営業職を、27歳のときに辞めた。
理由は、ロシア白人美女のハンドボールふたつ分の胸元を拝む毎日を送るため。
しかし、その後、俺は自分の考えがあまちゃんの中のあまちゃんで、じぇじぇじぇと苦虫を噛みつぶす出来事を、これでもか!というほど経験することになる。
まず、日本語教師になるための要件があることを知り、そして日本語教育能力試験とやらを受験する。その後、都内の日本語学校で教えはじめて、日本語学校の「現実」を目の当たりにすることになる。
< つづく ↓ >
コメント