俺が日本語学校業務で海外現地の美女スカウト担当になったときの話

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日本語学校の校長と飲みに行き、二軒目に入ったキャバクラに度肝を抜かれた話を前回した。

と言うのも、キャバクラのキャバ嬢が全員、俺が教えている日本語学校の学生だったのだ

校長はそれを「幸せを運ぶ三角関係」と言って俺に国際交流とはなんぞやとコツコツと説明してきたが、それは闇社会と連携した新手の人身売買にしか思えなかった。

さらに校長は俺に「仕入れ」の仕事を担当してくれないかと持ちかけてきた。俺は「仕入れ」ときいてもピンとこず、単純にこのキャバクラに卸す酒類の仕入れを担当するんだろう、ぐらいに思い、その場しのぎで了承してしまった。

ブラック極まりない「仕入れ」の業務内容

しかし、後日よくよく話を聞いてみると、各国現地からキャバ嬢になりそうな美女たちを選定し、日本に連れてくる業務だと知った。それを「仕入れ」というらしい。

俺はそれを聞いた瞬間、もうカタギではいられないことを覚悟した。育ててくれた両親のことを想うと良心が痛んだ。詐欺師ばりに嘘を並べて来日させた美女たちにキャバクラで働くことを強いるのだ。完全にブラックロードまっしぐらだ。

しかしその一方で、めちゃくちゃ面白そうな仕事だとも思った。少なくとも、狭苦しい教室で絵カードめくってコーラスしてるよりも、ハードボイルドでエロの要素満載なのは間違いなかった。

初心の志を貫くことに囚われた者こそが真の成功者

うだうだ考える俺に、俺の心の中にいる「リトル俺」が問いかけてきた。

リトル俺
リトル俺

そもそもお前は、なぜ日本語教師になったのか?初心を忘れてないか?

俺

初心だと?俺が日本語教師になったのは、日本語学習者の爆乳ロシア美女の胸の谷間を拝むためだ。それは揺るぎない。

リトル俺
リトル俺

それは果たされているのか?

俺

実際のところ、まったく果たされちゃいないさ。部室臭のする教室には美女どころか、女性が一人もいない。野郎オンリーのクラスを担当させられ、喧嘩腰に学習者と怒声を交わし合うだけの毎日だよ。

リトル俺
リトル俺

じゃあどうしたら当初の志を果たせるのか考えてみろよ。一気に果たすことが無理なら段階的に考えてみるといい。

俺

そうだな、根本的な問題はロシア爆乳美女がいないことだ。なんとか日本に連れて来られれば、その後はなんとでもなる。

リトル俺
リトル俺

そうだろ、そうだろ。段階的なタスクを設定することで、ゴールへのアプローチが見えてきて、実現性が高まるものなんだ。

俺

なんかできるような気になってきたよ。

リトル俺
リトル俺

その意気だ。いつの時代だってな、初心を忘れず、その志を果たすことに囚われた者こそが、本当の成功者なんだ。

そんなことを考えていると、各国現地で美女を選定して日本に連れてくる「仕入れ」の仕事は、とてもチャレンジングな仕事に思えてきた。

俺

仕入れの仕事は、まさに俺のためにあるような仕事じゃねえか。

初心に忠実に生きるが善」、というロジックを思考のど真ん中に据えることで、俺は自分がブラックロードに足を踏み外そうとしている現実を正当化した。都合のいいストーリーとして意味づけすることで、人は新しい一歩を踏み出すことができるのだ。

すでに俺の頭の中には、各国の美女たちがうごめいていた。

「危ない橋」

俺は決心が固まったことを改めて校長に伝えた。すると校長は黙って頷き、俺の目をじっと見ていた。

俺

ひとつだけ質問していいですか。

校長
校長

ええ、なんなりと。

俺

俺を雇ったのは、仕入れの仕事ありきだったのでしょうか?

校長
校長

もちろんです。サナダ先生がロシアの爆乳美女にメロメロになってる姿や、授業で下ネタ展開してる姿なんかを見て、仕入れの仕事に資質ありと見定めたのです。

俺

はあ、そうですか。

校長
校長

それとサナダ先生は、元営業マンで酒好きですよね。各国現地で仕入れをするのに、この二つは必須条件なんです。営業マインドがないと海外の猛者相手に太刀打ちできないですし、酒が飲めないとこれまた話にならないんです。

俺

へえ、そうですか。

校長
校長

そういう意味でサナダ先生は適任なんです。採用面接に来たときから、そう思ってました。

俺

で、校長先生、どの国に行けばいいんでしょうか?

校長
校長

まずはこの時期、中国、ミャンマー、ウズベキスタンを漁ってください。

中国は桂林、ミャンマーはヤンゴン、ウズベキスタンはブハラです。

俺

は、はあ。どこもピントこねぇな。桂林は水墨画の都だったか。ヤンゴンはもちろん都市名くらい知ってるがイメージがまったく沸かねえ。で、ブハラってどこだよ。そもそもウズベキスタンってそんな簡単に誰でも行ける国なのか?

校長
校長

これらの国々はまだまだ田舎に行けばいくほど、純朴な美女がたくさんいるんです。キャバクラで働くには、やっぱり純朴が一番ですよ。サナダさんならよく分かってるはずですよね。

俺

で、校長、いつから行くことになりますか。

校長
校長

あさって出発ということで、どうでしょう?

俺

ちょ、ちょ、待てよ!パスポートも持ってないんすよ!

校長
校長

は?

俺

だ、だから俺、海外行ったことないんで、パスポートとったことないんですよ!

校長
校長

だから何ですか?

俺

いや、だから、明後日の出発なんて無理ですよ。

校長
校長

パスポートなら偽造を用意しますよ。

俺

マジか!いくらなんでもヤバいだろ!!

「偽造」と聞いて、俺は思わず叫んでしまった。

校長
校長

はっはっはっ、それは冗談ですよ、さすがに。じゃあ明日、パスポート申請してきてください。パスポートの取得が済んだら、各国のビザを申請して、アイテムがすべて揃ったところで出発としましょう。

俺

わ、わかりました。そうしましょう。

校長
校長

サナダ先生、海外ではどこまでが本気で、どこからが冗談か、一瞬で見極めなきゃならんとですよ。そうしないと、成立する商談も成立しないし、最悪の場合、命落としますよ。

俺は校長の目が本気なのが分かった。ここは冗談で言ってるのではないようだ。

俺

わ、わ、わ、わかりました。

校長
校長

それとサナダ先生、我々のビジネスは、ただの留学ビジネスじゃありませんからね。適当にググって留学ビジネスの仕入れノウハウを下調べしても何の役にも立ちませんからね。

俺

・・・

校長
校長

我々のビジネスは、国内外の闇の部分と間接的にですが関わる局面もあります。サナダ先生には、その最前線で仕事をしてもらうのです。それをよく肝に銘じておくようお願いします。故意であってもなくても、下手をすると代償は大きいということ。その分、報酬はきちんと支払うつもりです。

校長は俺に仕入れの仕事の報酬額を提示し、その内訳を事細かに説明した。この報酬額とその内容は守秘義務の都合上、ここでは暴露できないが、一人あたりの単価に加えて、美女のルックスやスタイルや性格が客観的に評価され、その分がインセンティブとして計上されていく仕組みになっている。申し訳ないが額や評価基準は守秘とする。

校長
校長

まあ、そうですな。渡航までに一度、「仕入れ」のイロハを私からレクチャーしますよ。ノー準備で渡航するには、あまりにも無謀ですからね。

俺

てめえ、無謀とか言っちゃってるけど、派遣元はてめえ自身だからな。俺の身にもしものことがあったら、どう責任とってくれんだよ、ボケ老人が!

校長
校長

ま、サナダ先生なら大丈夫ですよ、きっと。

俺

はあ・・・。

その後、俺はパスポート用の写真を撮り、都庁にある新宿パスポートセンターに旅券申請に行った。そしてパスポート取得後には、渡航先各国の大使館に赴きビザ申請を行なった。

何もかもがものすごいスピードで音を立てながら動き始めていた。俺はそこから振り落とされないようにしがみつくことで精一杯だった。

次回は中国、ミャンマー、ウズベキスタンでの美女をめぐる旅に出る前日、校長による仕入れ業務に関するレクチャーで、仕入れの極意を事細かに伝授されたお話です。

ワタクシねじれ日本語教師のサナダは、好むと好まざるとに拘らず、ブラックロードまっしぐらです。

<つづく↓>

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