こんばんは、ねじれ日本語教師のサナダです。
俺はコピー機の元営業マンで、ひょんなことから日本語教師に転職した脱サラ野郎です。
今は非常勤として日本語学校で教える日々。にしても、働いても働いても金になんねーな。悔しいから授業以外の時間は労働ゼロ運動に励んでいる。
俺って健全なのよ。無賃金じゃ働きませんから。授業準備もしないし、授業後の採点や添削だって一切お断り。それが俺のプロフェッショナルなポリシーさ。
無賃金労働は絶対にしない俺だけど、タダ酒は大好き。一銭も払わずに生ビール3杯からの焼酎ロックを3杯いただくのは最高に気持ちいい。タダ酒だから関係ないけど、ハッピーアワーなら気兼ねなくグイグイいけるしね。
今回の記事は、俺が日本語学校の校長と飲みに行ったら、とんでもない校長の素顔を知ってしまったお話です。
俺の飲み友達となった校長
サナダ先生、今日も一杯行きますか。
校長先生、ぜひご一緒させてください。日本語教育の未来についてのお話も聞きたいですし(もちろん嘘)。
そんな感じで、俺と校長は仕事終わりにしょっちゅう二人で飲みに出かけるようになっていた。
あの二人、なんか最近、仲良すぎだよね。
いや、サナダ先生がたかってるだけでしょ。一目瞭然ですよ。
寂しがり屋の校長がそれに乗っかってるっていう、いびつな関係ですよ。
放っておきましょう。私たちはやるべきことがありますからね。さ、明日の授業の新出文型の導入用にすてきな例文3コ考えないと。
校長ボケてる疑惑
俺と校長はいつもの居酒屋に入り、いつもの席に座り、いつもの小料理を並べて、「お疲れさま〜」と言ってビールを飲んだ。
校長先生は、なんで校長なんてやってるんすか?退屈でしょ。
退屈なんかじゃありませんよ、毎日新しい刺激に満ちています。
そうですかねー、職場ではなんか孤立してる感が際立ちまくりですけど。
私が孤立ですって?馬鹿言っちゃいけないですよサナダ先生。私はいつだって学生に囲まれて笑顔が絶えない人気者ですよ。
校長が学生に囲まれて笑ってる姿なんて見たことねぇぞ。人気者って誰のことだよ。やっぱこの校長はボケてんじゃねぇのか。
サナダ先生、なんか疑り深い目してますよ。
てめえの風貌からして、疑われる要素、満載だろうが!
いや、生まれつきこんな顔なんです、残念ながら。
サナダ先生、私はね、毎日毎日、国際交流の真髄に触れることができて、本当に光栄なんですよ。毎日留学生たちに囲まれて笑顔を浮かべて老いて死んでいくことが本望なのです。
だからよ、てめえが学生に囲まれてる姿なんて、一度も見たことないんだよ。頭おかしいんかな本当に。
俺が半ば面倒になりかけたその瞬間、校長が席を立った。
サナダ先生、次の店行きましょう。見せてあげようじゃないですか、私がどれだけ学生に愛されて、毎日生き生きしてるのかを。
え? ああ、はあ・・・。
当然のようにお会計は校長に任せて、俺はとりあえず店の外に出た。
俺は仕事終わりに頻繁に校長と飲みに行くようになったが、二軒目に誘われたのは今日が初めてだった。いつもなら一軒目で一通り飲んでつまむとお開きとなり、校長はあっさりと姿を消す展開なのだが、今日は校長の様子がいつもと少し違った。
サナダ先生、私の行きつけのお店にお連れしましょう。
校長の眉毛で隠れた細い目の奥がギラリと光るのが見えた瞬間、俺はただごとじゃないことを本能的に察知した。
こりゃあ、大変なことになりそうな予感・・・。
校長の行きつけのお店
校長の行きつけのお店に行くということで、俺と校長は薄暗い路地を歩いて店に向かった。
サナダ先生、ここですよ。さあさあ、こちらです。
校長は慣れた足取りで薄暗い通路の奥にあるドアの中に吸い込まれるように入っていった。
すると奥から校長を迎える声が聞こえてきた。
おかえりなさーい!
はて、おかえりだと?ここは校長の自宅なのか?
おかえりなさーい、校長せんせー!
校長って呼んでるってことは、どう考えても家族じゃねぇな。
ぎゃー!と女性が叫ぶ声が聞こえたかと思ったら、校長のぎゃははと笑う声が聞こえた。
俺は薄暗い通路を進み、奥のドアを開いて中に入った。
ただのキャバクラじゃねぇか!
いらっしゃーい、サナダ先生。
俺は何かがおかしいことを一瞬で察知した。そもそも、なんで俺のこと、サナダ、しかも先生だってこと知ってんだ?
落ち着いて状況を確認すると、キャバ嬢たちの顔が、なんだか見覚えのある顔であることに気づいた。
ど、どーいうことだ・・・。どーなってんだ・・・。
ここにいるキャバ嬢、全員、
日本語学校にいる学生じゃねえか!
サナダ先生、これで信じてくれましたね。私がいかに学生たちに囲まれて、笑顔ちょちょぎれる毎日を送っているかを。
もみもみ、さわさわ、もみもみ、さわさわ
やっだー、校長先生ってば〜、そんなとこ触らないでくださいよ〜ん。
いやー、サナダ先生、これぞまさしく、国際交流ですな〜。
俺は理解できなかった。校長がじつはキャバクラ通いのエロじじいであることは少しも驚かなかったが、なんでこのキャバクラにいるキャバ嬢がみんな日本語学校の学生なのか、それがまったくもって理解不能だった。
俺は不思議の国にでも迷い込んでしまったような、そんな感覚に支配されていた。
次回、このキャバクラと日本語学校のくろ〜いつながりについてのお話です。お楽しみに〜。
<つづく ↓ >
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